少年H

映画でもやっているので、図書館で見つけた時、手にとってしまった。戦争の話だけどもっと戦争の悲惨さとかそういう話かと思っていたのだけど、少年Hの行動とか考え方を中心に、子ども目線からの戦争がとらえられていて興味深かった。
少年Hは個性的で、好奇心旺盛でいろんなことに首を突っ込んでるし、それを取り巻く人物も味があって面白い(お父さん、お母さんを始め、うどん屋の兄ちゃんとかオトコ姉ちゃん、友達、先生達とか)
最後のあとがきにも書いてあるけど、いろんな人に読んでもらいたい本だと思う。
映画も見てきた。水谷豊さん、伊藤蘭さんが夫婦役だけど、そのまんまのいい感じでした。本で読んだことが映像として入ってくるので様子やすさまじさが再認識できた。ラスト終戦後の部分があっけなく終わってしまったのが残念でもったいない。

〜ストーリー〜
昭和初期・神戸。洋服の仕立屋を営み、柔軟な考えを持ち、家族を温かく見守る父親・盛夫。 大きな愛で家族を包む母親・敏子。そんな二人のもと、好奇心旺盛に育つHこと肇。そして妹の好子。 幸せに暮らしていた4人だったが、H一家の周りでも、近所のうどん屋の兄ちゃんが、政治犯として警察に逮捕されたり、 召集令状がきたオトコ姉ちゃんが入隊せずに脱走して、憲兵に追われるなど、徐々に不穏な空気が漂うようになっていく。
やがて戦争がはじまり、軍事統制も厳しさを増し、おかしいことを「おかしい」と、自由な発言をしづらい時代となっていく中、 盛夫は、周囲に翻弄されることなく、「おかしい」「なんで?」と聞くHに、しっかりと現実を見ることを教え育てる。
中学校に入ったHを待っていたのは、軍事教練ばかりが続く毎日だった。 盛夫は消防署に勤めるようになり、敏子は隣組班長に、そして好子は田舎に疎開することになるなど、 戦況が不利になるにつれ、それぞれの日常が激変してゆく。 ついに神戸も大空襲に襲われ、終戦を迎えたとき、街は見渡す限り焼け野原になっていた。 その中で、神戸も日本も新しく生まれ変わろうとする。
そして、Hの一家も、小さいが確かな一歩を踏み出していく。